Perfume / GAME

GAME
女性3人組テクノポップアイドルユニット。プロデューサーの中田ヤスタカ氏が手がける良質のテクノポップと、個性的なダンスをまるで簡単そうに見せる健気さと、アイドルにありがちな目に余る上昇志向を全く感じさせない素朴さや、人懐っこい広島弁で、木村カエラを始めに、宇多丸掟ポルシェ吉田豪などの論客を虜にさせた。2008年現在では恐らく最強の、もしくは最後のアイドルPerfumeによる、多分上半期一番注目を集めたアルバム『GAME』。私は、中田ヤスタカ氏の作る音楽全般を聞いても、一発アイデア以外の違いがよく分かりません。しかし、それでもPerfume人気の一端には確実に音楽として聴けるという部分があり、それはクラブで繋げる事が可能な程にマッシヴです。一聴した感じだと、また四つ打ちで大味なアレンジだなーとか思いますけど、そもそもクラブミュージック自体が、四つ打ちハウスでドコスカいってたら、条件反射で兎に角踊る人達が根強く残ってたりするんで、そんなもんだと思います。そこに、今やどのタイプの音楽に乗せても若干のダサさが残ってしまう和製の音階が小気味良く乗っかると、そのダサさを逆手に取ったかのような日本独特のフューチャー感というか、J-POPらしい刹那さとキラキラがあって、一言で言うなら美しいジャスコ感を感じてしまいます。それを補強するように「ツンデレ」とか「どんだけ」(未収録)とかいう言葉を敢えてチョイスしていることから、3年後にブックオフのワゴンに並ぶ事を想定した、商業的消費音楽を選択しているように感じられてしかるべきでしょう。元々中田氏自体が"地方都市でどこからか聞こえてくるカーラジオミュージックメーカーとして優れている"のは、Perfumeどころかcapsuleであっても一目瞭然だと思われますので、この『GAME』では、まだクラヴ対応への比重が上がっている内に入るでしょう。どっちにいくか迷ったんでしょうけど、その迷いもそのままパッケージされている所で評価が揺れたりもするんでしょう。きっと。
繰り返しますけど、この手のクラブミュージック自体が、日本だろうがフランスだろうがドイツだろうがニューヨークだろうが、体で音楽を浴びるようにアイデアを聞いては捨て作っては捨てるタイプの、肉体的な音楽なので、Perfumeがどうしたとかいうもんでも無いと思うんですよね。変にメロディーに耳馴染みがあるもんだから、音楽評論の対象になっちゃったりするんでしょうけども(だから俺は、Perfumeに限らず世界中のクラブミュージックがダサいと思っているし、そのダサさの手法や方法論や方向性の違いがこの手の音楽の面白さだと思う)。
それはいいけど、もうこれからはPerfumeのファンであることを明文化することの必然性は低くなっていくんでしょうね(初音ミクで十分て人もいるでしょうし)。それは宇多丸の「俺見たいなサブカルは撤退した方がいい」発言(そして撤回)でもそうで、良いもんは売れた方がいいって発想からみたらそうでしょう。折角だから、今後、手のひらを返したかのように、Perfumeなんて一言も口にしなくなるサブカルスノッブ達のリトマス試験紙にでもしちゃえばいいじゃん!Perfumeは曲が好きとか、Perfumeは女の子のファンも多いしとか、自分のアンテナの尖りっぷりのアピールに勤しんでいるそこの君、三年後に見回りにいくから。