放送禁止4―恐怖の隣人トラブル― / 45分


放送禁止4―恐怖の隣人トラブル―
『放送禁止4―恐怖の隣人トラブル―』05年10月13日 26時25分。偶然なのか、引越しおばさんの話とも取れる隣人トラブルモノ。こういった、奇妙な同時代性や運命脅迫は、フェイク・ドキュメンタリーのエンターテイメント性をより強度なものにしてくれる。二作目以降モチーフは全て、ワイドショウへのアングルで、監督の基本思想ともなっている、社会問題への警笛に対する違和感だが映像から漂って来る空気は、一作目の頃のような不気味さが復活している。
その一旦を担う狂言「鎌腹」については、こちら(→能楽(能・狂言)鑑賞記: 鎌腹)を参考にされたし。宗教を軸に、主観と客観が混在する為、一言で宗教の怖さ、と言ってしまう事は憚れる。人間の恐怖を宗教というモチーフを使って浮き彫りにしているといった方が、正確か。加害者の目的が別にあって、被害者が加害者である構成は第三作目の進化系かと。リアリティを持たない宗教やオカルトが、逆にリアルを隠蔽する。という意味では、一作目よりも真実味があるんだけど。出来れば、宗教に対する恣意的なアングルが逆転するかのような、一捻りした批評性が欲しかった。
謎解きモノとして、完全に意識をしていないであろう最後に答え合わせがある。しかし、その答え合わせの映像が怖いのなんのって。目指している場所が、また新たなったであろう事が窺い知れる。ラディカルな客観性も健在で、既に四作も作っている事から、知っている人が増えてきた事、見る側の準備、覚悟が違うという事をよく心得ており、本物の解説インタビュー映像を逆手に取った、過去の『放送禁止』作品への批評性には、この監督はどこまで行くのか、楽しみになってくる。もうちょっと、複雑に隠してくれると嬉しいけど、TVで放送するエンターテイメントとしては、これ以上のバランスは難しいか。役者さんは殆どケイ・エム・シネマって事務所の人らしいんだけど、お父さん役の人、上手い。