放送禁止1/45分


放送禁止
『放送禁止』03年4月1日(エイプリルフール!) 26時05分、ゲリラのように突然始まった奇妙な深夜番組。心霊番組で「それでは御覧頂こう」と言っている人によるナレーションによってお蔵入りになった、放送禁止テープを再編集したというこの番組の趣旨を説明される。その他、本物の専門家、評論家によるインタビュー解説等の出来はかなり良くフェイク・ドキュメンタリーだとは思えないナイス編集。一緒に見ていた友達に、「なんだドラマか」と評判が悪かったのは冒頭5分の作りが、ドキュメンタリーのハードルを上げ過ぎていた為、騙されてしまった部分のぶり返しと思われる。
行方不明になった若者グループというモチーフ等『ブレアウィッチ・プロジェクト』『リング』を意識し、それに対するアンサーを行うラディカルな批評性は、第4作目現在まで健在。オチまで見れば、ただの真似ではない事に気が付くだろうが、ある意味、客を選ぶ作品だったのは否めない。超能力やUFOの要素など、オカルトを積極的に取り入れたストーリーは、強引ながらも推理の幅を広げ、日本ならではの独特な立ち位置を示している。まだ、謎解きがストーリー部分を邪魔していたりその逆があったり、未完成な模索が見られる(明らかにそれおかしいだろ!と…)。それでも、第一回目である神秘性は、充分ドキドキさせられ。犯人が分かると、ちょっと気持ち良い。
オカルトを利用しているのは犯人で、全くオカルトではない真相というのは『ブレアウィッチ・プロジェクト』などのオカルトを用いたフェイク・ドキュメンタリーを挑発している。犯人の頭文字を描いた、ダイングメッセージなんて二時間ドラマでもやらない、ベタなんだけど。作品の空気が、このベタを最後尾に回しているのは作品をよく客観視できているからこそ。リアリティがリアルを食う瞬間を捉えた。